こんなに教えているのに できないのはなぜ?

いろいろ工夫して教えてるのに
全然覚えてくれない…


何度も教えてるのに
全然できない…

私もそうでした。

結局「やる気がないのよ…」と
生徒さんのやる気を疑ったりして…

でも、
教えているのにできないのは
生徒さんの中に「学び」
起きていないのかもしれません。

「楽しい=盛り上がる」ではない。


「学び」とは、
「あれ?変だな?」と違和感を感じ

あれこれ考えたり試し

新しい発見をすることです。


「学ぶ」と聞くと、
・嫌なことを一生懸命行う
・その苦労を乗り越えた人だけが結果を得られる

などのイメージがあるかもしれません。

でも本来の学びは、
「そっか!」とさまざまな事を発見すること。

新しい事を発見する!
これはとても楽しいことです。

セミナーなどで
新しい事を知るのは楽しいですよね。
それと同じです。


また先生方は
生徒さんの笑顔を励みに
「楽しいレッスン」をされていると思います。

私もそうです。
そして「楽しいレッスン=盛り上がるレッスン」
と思っていました。


でもどんなに盛り上がったとしても
そこに生徒さんの学びがないと
成長へはつながりません。

あの盛り上がりは
単なる「楽しい思い出」で終わり。

一所懸命レッスンの準備して
せっかく笑顔が見られたのに

「学び」につながらないって、
すごくもったいないと思うんです。


もちろん楽しいレッスンで
笑顔が見られることは大前提ですが、

レッスン中、
・生徒さんの脳内で何が起こっているか?
・何を感じ、考えているか?
・何か発見したことはあるか?
・何を「楽しい!」と感じているか?

などを想像しながらレッスンするだけで
随分と変わると思います。

「楽しいレッスン=学んでる」とは限らないけど、
「学ぶ=楽しい」です。

「学び」のあるレッスンってどんな感じ?

では「学びが起きているレッスン」って
どんな感じでしょうか?

あえて、
お勉強的な理論の様子をご紹介します。

例えば、
ピアノアドヴェンチャー ライティングBの64ページ。

全音楽譜出版社HPより引用

もともとは

①連なるビーズを見て、規則性(リズムパターン)を探す
②見つけたリズムパターンから拍子を考える

活動です。


ここでたまにあるのが
②の活動で出てくる
「4分休符は拍に含めるか問題」


もちろん拍に含めますが、
生徒さんによっては演奏はちゃんとできているのに、
(しかも前のページは休符のリズム活動なのに…)

改まって聞かれると迷ったり、
中には、迷いもなく
拍として含めなかったりします。


昔の私ならここで、
「違うよ。ちゃんと考えて!」とか
答えを教えていました。


でもそれでは、
・教えてもらったからできる
・その場限りの「作業」

となり、
「学び」としては浅いのです。

なのでしばらく様子を見ます。

この後、
どのような言動をするのか?
見るためです。

言動を観察すると、
生徒さんの脳内の様子が
見えることがあるからです。



この課題の場合、


上写真の問題Aは、
答えは4分の4拍子です。

でももし「4分の3拍子」と書いていたら、
生徒さんは「休符は拍に含めない」
思っています。


当然違うのですが、
しばらく様子を見ます。


次の問題Bは、休符がありません。

ですから
・リズムパターンの発見
・拍子の概念
ができていたら

「4分の3拍子」と
ほぼ間違えることはありません。


次の問題C。

ここでまた4分休符が出てきます。

「休符は拍に含めない」ルールだと、
4分の3拍子で課題の答えの一つなので、
違和感は感じにくいですね。

おそらく迷いもなく書くと思います。


次の問題D。

ここもまた4分休符があります。

「休符は拍に含めない」ルールで考えると、
4分の1拍子になってしまいます。


ここで
「あれ?4分の1拍子ってあったっけ?」
と違和感を感じると、


学びのスタート!!

「休符は拍に含めない」
思っていたのに、
それが通用しない…

生徒さんの
思い込み・常識・前提知識が崩されて
混乱状態です。笑

生徒ちゃん
生徒ちゃん

え?どういうこと?
なんで?
えーーーー??!


「え?なんで?
えーーーー??!」

脳内にある情報を
グルグル探している状態。


でもこのグルグル(混乱)が
大事なんですよね。



というのも
ここで、なんとか整理整頓しようと
あらゆる知識を結びつけようとしています。

そもそも学習は、
知識と知識が結びつくことで
「理解」
します。

なので手がかりを見つけるために
頭の中を隅々まで
グルグル探している状態。

普段おとなしい生徒さんでも、
無表情な生徒さんでも

この時ばかりは
脳内は大忙しです。笑

脳内が忙しいので
黙っていることが多いですが
もしここで手が止まっていたら

「ん?どうかした?」など
ここでも先生は様子を見ます。


ここで

生徒
生徒

もしかして、休符って拍に入れるのかな?


「もしかして、休符って拍に入れるのかな?」と
問いが生まれたら、

あとは答えを探す段階へ進みます。

でも答えも教えるのではなく

先生
先生

楽譜はどうなってるか、見てみたら?


と調べ方を教えるだけ。

ここで伝えたいのは
「分からなかったら、まずは自分で調べる」
です。

そこで調べて「拍に入れるんだ!」と分かれば、
他の問題での間違いにも気づき、
正すことができます。


もし黙っていたら…


手が止まっておれば、
何か違和感を感じているので

「休符は拍に入れるのか?」
の問いはあると思います。


ただ「分からない…」が
言い出せないだけかもしれません。

言い出せない理由も色々ありますが
それはコミュニケーションの原因が大きいです。

その改善方法は色々あるので
ここでは省略します。

でもちょっとだけ…

コミュニケーション不足でも言い出しやすい言葉が
「迷ってることある?」です。

・「分からない」が言いにくい生徒さん
・分からないけど、自分で解決したい生徒さん
・「分からない」と言ってはいけないと思っている生徒さん
・「分かっていないのか?」が分からない生徒さん

にとって

「迷う」は便利な言葉です。

「迷ってることある?」と尋ねると
ポツリポツリ話し始めます。

本題へ…

問題Dで手が止まっている生徒さん。

「これが迷う…」なんて話し始めたら、

「あ〜、それね。みんな迷うんだよ…
なんでだろうね。
でも楽譜を調べたらわかる人多いよ。」と

・迷うのは悪いことではない
・迷うのは君だけじゃないよ!

を暗に伝えていきます。


そして、
さっきの自分から質問した生徒さん同様
自分で調べさせます。

楽譜のどこを探したら良いのか?が
分からなさそうであれば、

「例えばここはどうなってる?」と
休符があるページを見せます。

こうして生徒さんによっては
一緒に調べることで
調べ方も具体的に教えます。



ちなみにこの
「分からなかったら調べる」は
これからの時代(いや今も)必須能力です。

調べれば大抵のことは瞬時に分かります。

学習力の高い人は
疑問を放置しないのです。

こうして「検索スキル」も向上していきます。

違和感を感じていないようだったら・・・

もし4分の1拍子に
違和感を感じていないようだったら、

先生
先生

1拍子ってあった?

先生
先生

答えは、
4/4か、3/4になるらしいけど?



などを伝えると、
違和感を感じやすいです。

そしてこれもあとは、
調べさせて自分で答えを探させます。

すると、
私から教えられることもなく、
自分で気づき、学習ができます。



また逆に全部できていても、
その生徒さんにとっては学びにはなりません。
「分かっている」の確認ができただけです。

そんな場合は、

先生
先生

よく分かってるね!
実はよくあるのが、
Aの問題で3/4って書いちゃうんだよね…
なんでそんな間違いになっちゃうのかな?


とあるある問題を生徒に考えさせます。

すると「そんな風に勘違いすることもあるのか…」と
より一層理解が深まります。

ちなみに「あれ?変だな→グルグル状態→発見」の流れを
教育用語で「自己調整学習」と言います。

ピアノアドヴェンチャーの
カタログでも言われている内容です。

「学び(あれ?→混乱→発見)」を意図的に起こすには?

とはいえ、
「発見」するには
発見するための前提知識が生徒さんの中にないと
発見できません。

例えば
・リズムパターンを探せない
・「拍子」の言葉に聞き覚えがない
・「拍子=同じ拍が集まる」のルールが分からない
など。

それでは
テキストの問題は解けないのはもちろん
発見もできないし、
弾くこと自体も大変だと思います。

なので生徒さんが
・いま身につけている概念スキルが何か?
・どの程度身についているか?
・普段の思考の癖(勘違いしやすい、問題読まない、深読みしやすい、考えないなど)

などを把握しておくのが必要だと思います。

どんな概念があるのか?は
こちら

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