速い3拍子は、円を感じると楽。

速い3拍子って、

単に「1・2・3!」など、
1拍ずつ速く数える方法だと
スムーズな演奏はできません。

この数え方だと忙しい割には、
速く弾けずノレないのです。


そこで私はこの「それいけ、タップ!」で、

(はじめてのピアノアドヴェンチャー 
レッスンブックB p 59)


速い3拍子感を味わってもらっています。

ここで速い3拍子の感覚があると
将来出てくる8分の6拍子は
すんなり弾けることが多いです。


そもそも、この曲自体ノリが良いので
子供たちに大人気な曲です。

そしてノリを感じながら弾くには、
速い3拍子の感覚
(1小節を1つのまとまりに感じる感覚)が必要。


譜読みもさほど難しくないので
私は、その人気を利用して
速い3拍子に慣れるための指導をしています。

この曲のねらい:速い3拍子の体験(小崎の場合)
  • 目標1:新しく学んだ[ト音記号ソ]を使って、手の置き方が探せる
  • 目標2:速い3拍子で弾ける

本来は[ト音記号ソ]を使って弾けるか?
を行う曲です。

もちろん[ト音記号ソ]は
前の曲「ひこうきのパイロット」で紹介していますが、


こうした暗記を伴うものは、
「忘れては覚える」を繰り返しながら
覚えた方が楽なので、

音符を覚えることも継続しながら、
前述の3拍子感を養っています。

指導手順

指導手順としては次の流れです。

指導手順
  1. イメージ作り
  2. 聴く
  3. 弾く(概念確認→連携)
  4. 遊びへ

手順①イメージ作り

まずはイメージ作り。
ここで曲の紹介です。

「タップがジャンプするんだってさ!
どこかに飛んで行くのかな?」など、

お手本を見せながら
最後のオクターブ移動の着地イメージを
考えてもらいます。


イメージが湧かなさそうであれば、

・雲に乗ろうとしてるのかな?
・前のページの飛行機になって飛ぶ練習してるのかな?

など、何でも良いと思います。


何か高いところへ行くイメージを伝えると、
そこからヒントを得て
生徒さん自身が考えるかもしれないし、

それでも思いつかなかったら、
紹介した中から選んでもらうと良いと思います。

その場で答えは出なくてよいので、
「考える」ということが大事なのです。

手順② 聴く

次に音楽を聴きながら指揮をします。

まずは「1拍ずつだと大変!」
を味わってもらうために、
よくある三角形を描く指揮。


ここでのコツは、

この曲のテンポの場合、
三角形が小さいと大変さを味わいにくいので、
少々大袈裟に大きな三角形を描きます。

終わったら「ぜーぜー」言うくらい
大変なんですが、子供たちは楽しそう!

そこで「三角形って大変だよね…」と
大変さをアピール笑


「じゃあ、今度は丸でやってみよう!」
円を描かせる指揮に変えます。

円運動の方が楽なので
それを実感させたいのがねらいです。


その時、テキストのイラストにあるように
左手はトランポリン、
右手はタップに見立てます。


なので、左手は宙で固定をしたまま、
右手で円の運動を行います。

そして、上昇時は少し減速をしながら、
下降する時は勢いをつけます。

これは、
強拍のエネルギーを感じるためです。

もちろん生徒には
減速やエネルギーの説明はしませんが、

勢いよく手のひらで
ジャンプをしようとすると、
自然に勢いは付くもの。

理屈ではなく、
感覚的に捉えてもらいます。


また指揮ではなく、
タップになったつもりで
実際にジャンプをするのもオススメです。
(1拍目に着地するようなジャンプ)


その拍子の感覚を持って、
音楽に合わせて
リズム打ちを行います。


歌詞を歌いながらの方が、
より一層音楽の流れを感じられるので
オススメです。

手順③ 弾く(概念確認→連携)


今度は実際に弾きます。

この曲で使われている
主な概念(音楽ルール)は下記の通りです。

①3拍子感
②3拍子基本リズムパターン
③音符[ドソ]
④谷型音程パターン
⑤オクターブ移動

これを下記の順序で
確認しながら
連携していきます。

①3拍子感 ②リズムパターン

これは、
先の指揮でほとんど内在化しているので、

あとは残りの③④⑤などの
音の高さと指の動きの連携です。

③音符[ドソ]

いつもと違うのが、
右手のポジション(手の置き方)。

でもそれも、
「これ、どこに手を置くんだろうね?」と
最初は生徒に考えさせます。

確かにいつものポジションは違いますが、
ポジションを探す手順は
いつもと同じです。

ちなみにポジションを探す手順は
①左右それぞれの最初の音(ここで今回学んだ[ト音記号ソ]を使う)と
②指番号を確認です。

そしてポジション探しを
生徒自身にさせることで、

違う曲にも応用できるか?
の確認にもなります。

逆にポジションが探せない場合は
何が原因で探せないのか?
を確認します。

ここでよくある原因は
原因①:ポジションの探し方が分からない
原因②:[ドソ」の音符が読めていない
原因③:いつものポジションと違うので違和感を感じている
など。

そしてそれぞれを改善します。
①の改善策:探し方の復習
②の改善策:[ドソ」の音符の復習
③の改善策:色々なポジションがある。を伝える
など。



この「学んだことを応用させる方法」
を知らないと、

毎回教えることになり、
先生も大変だし、

生徒の主体性はもちろん
読譜力は育ちません。

教えなくてもできるように
困った時の方法や考え方を教え
実際にやってもらいます。

なのでここで、
答えを教えるのではなく
探し方を教えます。


谷型音程パターン

おざきピアノ教室では、
音程パターンを読む読譜方法を
取り入れているので、

これくらいの音型は
その場で弾けることが多いです。

音程パターンを行っていない場合、
最後にご紹介する

「5小節の2度パターンの改善方法」
を参考にどうぞ!

教材販売はこちら

なので、
「一つ一つ音符を読む」
というよりも、

先程の拍子を感じたリズムに
指の動きを連携させます。


具体的には、
5小節目は下り、
次の小節になったら上がる。
というのを連携させます。

これも、
今説明したようなことを
考えながら行うのではなく、

先程の拍子感に
「何となく合わせる」
といった具合です。


ちなみにこの
「何となくできる」に持ってくるには、

②聴く段階で行った
音楽を感じる、拍子やリズムを感じる。
を先に行っておくと、

「何となくできる」になりやすいです。


これが理論先行では、
・頑張ってできる
・ちゃんと意識したらできる
となりがち。


理論も大事ですが、
感覚を掴んでから
理論と結びつける方が、

何かと楽なのです。

最後部分のオクターブ移動

これは前のテキストの最初に出てくるので、
・オクターブの距離感
・ドの鍵盤感覚
があればすんなり行くことが多いです。

もし迷ってそうであれば、
ここの部分だけを取り出し、

色々な「ド」にお出かけしよう!と
移動の練習をするのがオススメ。



さて、
これでこの曲を弾くための材料は
揃いました。

あとは最初に行った歌や拍子に
連携させます。

この時、
「歌」が強力な接着剤となります。


なので
音名や歌詞を歌いながら弾きます。


手順④遊びへ


これで一応楽譜通りに弾けました。
でもピアノ学習は、
「正しく弾く」が目標ではありません。

楽しむのが目標です。


なのでこの曲のノリの楽しさを
感じるためにも
速い3拍子を感じるのが大事。

そのノリを感じながら弾けると、
楽しさを味わえると思います。

なのでおうちで弾く時には、
一番最初に行ったイメージを発展させ、

・色々なところへ行く
・タップではなく生徒ちゃんがジャンプしたら…

などシチュエーションを変えると


子供たちにとっては、
「練習」というよりも「遊び」になります。


遊びにはイメージが欠かせません。

そしてこの遊びを通じて、
ノリを感じてほしいですし、

何度も弾くことで
テクニック練習になります


それが
「正しく弾くための練習」では、
達成感はあっても

楽しめたか?は
分かりませんね。

たどたどしく弾いても
テクニックが養われないので
少しもったいない気がします。

よくあるつまづき


とはいえ、
最初から上手くに行かないこともあります。

つまづきというほどではないけど
ちょっと迷いを生じるのが次の2ヶ所。

①5小節目:左手2度パターンが迷う

②下の段の1小節目:[ドーソ]が[ドード」になる

それぞれ、原因と改善策をご紹介しましょう。

つまずき①5小節目:左手2度パターンが迷う

この原因は
原因①:指の動きが分かってない
原因②:指の動きと音名(音程感覚)の連携がない
原因③:指先がバタつき、手を見ないと弾けない
など。


改善策は
①の改善策:2度の上がり下がりを確認する
②の改善策:歌詞を歌いながら指を動かす
③の改善策:ピアノの蓋の上など弾く真似
(その時、丸い手を崩さないようにする)
など。


③の改善の弾く真似は、
鍵盤を頼ることができないので、
指の動きを意識することになります。

その際気をつけたいのが、
指先が蓋から離れないこと。

丸い手のまま、
崩れない指先で行います。

この手の形がないと
鍵盤場所の把握がしにくく
手元を見て弾くことが多くなります。


蓋の上でできたら、
これも様々な音域の[ドシラソラシ]で
弾くのもおすすめです。

もちろん歌詞や音名で歌いながらです。


理由は、
「オクターブ移動」という他の要素が入っても

連携が崩れないか?を
確認するためです。

おまけとして
・オクターブ移動の距離感
・左手ドシラソの鍵盤感覚
が養われるかもしれません。

その際も、
「今度は左手でタップがジャンプするよ!」など

イメージを持たせると
「練習」にならず良いかもしれません。

つまずき②下の段の1小節目:[ドーソ]が[ドード」になる

この原因は、
原因①:上段冒頭で行った
同音連打の運動感覚が強いため。

脳内で音名が鳴ってない可能性が高いです。

改善策①-ⅰ :冒頭部分は同音連打だけど、
迷い部分は音が高くなっていることを確認

理由も考えるとよいかもしれません。
よくあるのは
「ちょっと小さくジャンプの練習してるのかも…」
です。

改善策①-ⅱ :歌がリーダーになるよう音名で歌う。

その時
「音名が正しく言えるのか?」というよりも、
「音程感覚を感じているか?」が大事です。

そこでオススメなのが、
歌いながら手で音程の高さを表すなど、
音程を見える化・体感することです。

改善策①-ⅲ :歌いながら弾く

ここまで来ると
大抵は弾けることが多いです。

ここまで長々と読んで下さり
ありがとうございます。


実際のレッスン時間は10分足らずですが、

指導のねらいやポイントまでご紹介したので
かなりの文字数になりました笑


何かの参考になれば嬉しいです。


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