隣の音に動くだけなのに、どうして弾けないの?!

「お祭りダンス」
(作曲:キャロリン・ミラー)の一部です。

今日の生徒ちゃん。

生徒
生徒

ここ(赤丸)が弾けないの…

先生
先生

左手で、
[ソ]→[1オクターブ下ソ]
へ指を広げるんだよね…?

生徒
生徒

そうなんだけど…

左手で、
[ソ]→[1オクターブ下ソ]です。

オクターブの指広げですが
音はソしかないので、

音読みは[1拍目ソ]が分かれば
簡単ですね。

生徒ちゃんも、
もちろん分かっていました。

このように
「音を読めるけど、弾けない…」
よくあることです。

じゃあ「何が原因なのか?」
を探る必要があります。

その前に、
・今どうなっているのか?の現状確認
・それを本人が分かっているか?の確認

をしましょう。


「できない…」には原因があり
現状によって原因は変わります。

そして原因によって
改善策は変わるからです。

練習量の問題じゃないことも
多いです。

先生
先生

本当はどうしたいのに(理想)、
実際はどうなっちゃうの? (現状)

生徒
生徒

本当は1拍目をソにしたいのに(理想)、
いつもラになっちゃう(現状)…


おお!生徒ちゃんは
現状を分かっているようです。

弾いてる本人が
分かってないケースが
多いですからね…

しかも幸いなのが、
「間違え方は同じ」ということ。

となれば、
原因は特定されやすいので、
早く改善する可能性があります。

これが
「間違え方がいろいろ」となると、

原因特定に時間がかかるし、
原因もたくさんあるかもしれません。

「じゃあ、1拍目がどうして[ラ]になるのか」
の原因を考えます。

どうして隣に動けないのか?


そもそも、
ここの[ソ]を[左1番指]で
弾くために必要なスキルは、

前の[ラ]を1番指で弾いているので、
[1番指を鍵盤1つ分寄せる]という動き。

そして、それができる基本スキルは

「その動きがある」を、本人が分かっている(理解)
その動きを脳が指に伝える(テクニック)
が必要です。

そして
②をスムーズに弾くためには、
②-ⅰ:前の小節からのバス(1番下の音)[ミーレーソー]と、脳内で聴いている(聴く)
②-ⅱ:[ 1番指]が「鍵盤1つ分ずれる」距離感を捉えている(テクニック)
が必要。

そしてさらに②-ⅱのためには、
②-ⅱ-a:鍵盤1つ分動くための身体の使い方ができる(テクニック)
②-ⅱ-b:「ちゃんと鍵盤1つ分動いた!」を指で確認する方法が分かってる(テクニック)
が必要。

青:理論要素  緑:聴く要素  黄:テクニック要素


と、できない原因を掘り下げていきます。
表にするとこんな感じ。


行う順番としては①→②、
そしてさらにはⅰ→ⅱ、a→bの順です。
(ちなみに、a,bができない場合の原因もありますが、
今回はそこまで行かなかったので割愛します)


理由は、②・ⅰ〜ⅱ・a〜bが
身についておれば、

基本的スキルの使い方を
分かってなかっただけなので、

①の本人が認識すれば
弾けることもあるからです。


でも①本人の
「わかってるけど、弾けない」は、

脳が働いてなくて、
単に運動感覚だけなので
②以下が原因です。

なので
何を脳で考えるのか?
を確認します。

どうして「わかるけど、弾けないのか?」

ほとんどの「弾けない」は、
この状態ですね。

主な原因は

・深く理解しきれていない
・脳から適切な命令が出ていない


です。

今回の場合、
②ができない原因は ⅰ〜ⅱが考えられます。

ⅰ:聴けていない
ⅱ:指の動きが分かってない


これらを確認します。



さらに、
②-ⅱ:指の動きが分かってない
の原因は、

「 隣に動く」という気持ちだけで弾き、
指先の触覚を使ってないのが原因です。

これ、意識しているようで
まだ命令の出し方が甘いんですね。

なので

②-ⅱ-a:鍵盤1つ分動くための身体の使い方ができる(テクニック)
②-ⅱ-b:「ちゃんと鍵盤1つ分動いた!」を指で確認する方法が分かってる(テクニック)

と、超具体的に考えます。




しかし
この感覚は人それぞれ違うので、
まずは本人の感覚を優先させますが、

「どうやれば良いのか?」
がわからなかったり、

「いや、その感じだとうまく行かないかも…」
と判断したときには、

もちろん私の方法を教えます。



今回は、
普段これらをレッスンで行っていたので
すんなりできました。

ただ活用できてなかっただけですね。


ちなみに今回の身体の使い方は、

[浮き上がる手首]を使いながら隣に動き、
指先で鍵盤の溝を捉えると良いかも…」
でした。

[浮き上がる手首]とは
ピアノアドヴェンチャーに出てくるテクニックの一つ。

リラックス状態を作り
手首から動く弾き方を指します。


このように、
たかだか「隣に寄せる」という動きでしたが、

改めて見ると
色々なことを考え、
感じながら弾いていることが分かります。

ちなみにこの内容は
レッスンでは5分ほどの内容です。

「できない…」と
悩んで落ち込むのであれば

ここでじっくりと向き合い
・脳内で聴く
・隣に動く距離感や鍵盤感覚を身に付ける

を行っておくと、

同じような動きが出てきた時には
やりやすくなります。


練習は積み重ねが大事ですが、
回数を重ねるのではなく

こうした基本スキルを積み重ねる
ほとんどの方が弾けます。



それが
「とにかく指が覚えるまで弾く」だと、

どうやったら弾けたのか?
が分からないので、

・その場しのぎの練習
・その曲にしか通用しない練習
にしかならず、

使い回しができるスキルが
養われない
のです。


このように
「できない…」には原因があります。

①現状を細かく観察し
②原因を探り
③適切な改善策を伝える



すると、
レッスン内で弾けることも多いので、

自宅練習は
「できてない部分を弾けるようにする練習」
ではなく、

「できたのを定着させるための練習」
なので、

練習も行いやすいのでは?
と思います。






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