・初見で弾けたことがない・・・
・間違えずに弾けたことがない・・・
・1曲が弾けるようになるまで時間がかかる・・・
これらは、
・概念を読めてない
・概念から指の動きを読めてない
・指の動きを伝えられてない
・概念から音楽が想像できてない
が原因です。
●概念って何?
《概念》とは、
物事に対する共通ルールのことです。
例えば「足し算」。
これは「合わせると数が増える。」
の共通ルールを学ぶものです。
この足し算の概念がわかった上で、
・数を変えても計算できるか?
・文章問題になっても、式を立て計算できるか?
を練習します。
しかし、
足し算の概念(ルール)が分からないと、
丸暗記するかもしれません。
計算問題の答えを全て丸暗記するって
難しいと思いませんか?
でも、足し算ルールを使うと
答えは覚えなくてもいいですよね?
これって、
音符の読み方だけを教えて、
ひたすら読ませ、弾かせるのと同じ。
この根性論で、
どれだけの人が苦しめられたことでしょう・・・
譜読みは、
音符やリズムだけを読んだのでは限界が来ます。
音符の集合体を概念化(グループ化)しないと
覚えることが多すぎてパンクするからです。
なので譜読み指導では
①共通ルールを教える
②身につけさせる
③曲に応用できる
そこまでが指導だと考えています。
●曲は、概念の寄せ集め
そもそも曲は、さまざまな概念の寄せ集めです。
例えば、これはシューマンの「勇敢な騎士」ですが、
ここにある概念は、
・Gメジャー(ト長調)
・4分の2拍子
・右手最初の指の置き方が6度
・一番高い音の横メロディーは2度
・左手は、右手と平行の動き
・最後はⅤ7→Ⅰの終止形
などです。
もちろん、もっと細かい概念はありますが、
上記のことが分かるだけでも
弾きやすさは変わります。
このように音符を通じて
・どのような音楽になっているか?
・どのような指の動きになっているか?
を読むのが譜読みです。
音の順番を読み、覚えるのが譜読みではありません。
●概念を理解しても、使いこなせるか?は別問題。
しかし残念ながら、概念は教えても
生徒さんが自分の力で読めるか?弾けるか?
は、別問題です。
なのでレッスンでは、
概念を自分で活用できるようにするのも指導。
先のシューマンの例で言えば、
2度を学んだはずなのに
2度を見抜けない
→分析できていない状態。
分かっているけど
両手の平行が弾けない
→テクニック不足。
知識はあっても活用できてないのです。
そのためレッスンでは、
移調や変奏、初見、即興を行うことで
・概念を読んでいるか?
・概念を使い回しできるか?
を確認します。
私が使用しているピアノアドヴェンチャーでも、
「移調しましょう」「即興しましょう」
と書かれていますが、
何のために移調や即興を行うのか?の
目的を持っていないと、
ただの作業となり効果的ではありません。
でも、
つまづいている生徒さんを見ると、
音符から音名とリズムしか読んでない・・・
・その音が何の役割を果たすのか?
・どんな音楽になっているのか?を
理解(または感じて)いないのです。
これがピアノ練習をつまらなくさせる一因なのでは?
と思います。
●どんな概念があるの?
そこでどのような概念があるのか?
を表にしてみました。
ピアノアドベンチャー概念マップ(指導者).pdf
(A4用紙5枚分)
これは、
ピアノアドヴェンチャーの
ベーシックシリーズに出てくる概念を
レベルごとにまとめたものです。
細かいことを言えばキリがないのですが、
ザッとこんな感じ。
違う教本でも
出てくる概念はほとんど同じなので、
目安にはなると思います。
(ちなみにアドヴェンチャーの最後は「エリーゼのために」。
エリーゼを弾くにはこれだけの概念があると良い。
ということです)
●教える順番が大事
そして、この指導順番が大事。
スケールを弾くには、
→5音スケールが必要。
5音スケールを弾くには、
→音階の仕組みの理解が必要。
音階の仕組みを学ぶには、
→全音・半音の理解が必要。
全音・半音を学ぶには、
→2度の概念が必要。
というように、
スムーズに定着してもらうには
概念を学ぶ順番も考慮する必要があります。
足し算ができていないのに
掛け算を教えても難しいのと同じですね。
またその概念自体を学ぶのも
①体感させる(聴く)
②弾く
③理論
④即興
がおすすめ。
これは教育心理学でも
ピアノアドヴェンチャーの指導書でも
言われています。
なので指導者は、
・生徒は何の概念を身につけているのか?
・今日のレッスンでは何を学ばせるのか?
・どの手順で教えるか?
・そもそも生徒に学びが起きてるか?
単なる楽しい体験で終わってないか?
を考えながら指導すると
スムーズなレッスンができます。
ピアノアドヴェンチャーを使って
・何を教えるのか?
・どの順番で教えるのか?
・どう教えるのか?の方法
ご紹介しています。