
何度も説明してるのに理解してくれない

聴いて!と言ってるのに聴いてくれない

自分で考えようとしない
そんなことを解消してくれるのが
「質問」です。
一般的に「質問」というと、
聞き手が知りたいことを
相手に尋ねる時に使います。
でも、相手に
・何かを気付かせたり
・思考を深めてもらう
そんな時にも「質問」は有効です。
というのも
人は質問されると「その答え」を探そうと
自然に思考し始めるからです。
これにより、
・発見する
・理解が深まる
・モチベーションが高まる
・自分なりに考えるようになる
そんな効果があります。
なので私のレッスンでは
「質問」が多いです。
でも「質問」って奥が深いのです。
そこで今回は、
「ネズミくんのチーズ探し」
(ピアノアドヴェンチャー レベル1 テクニック&パフォーマンスより)
を例に、
・考えさせるための質問
・その意図
についてご紹介します。
ちなみにこの「考えさせる質問」は
考えることが目的なので 答えられなくてOK!
1:「どういうこと?(何が書かれてるか説明して)」
これはテキストの
説明文を読んだ後にした質問です。
読んだ文章:この練習曲では、左手の音をのばしたまま 右手をスタッカートで弾きます。
書かれている内容を理解しているか?の確認
よくあるのは、
先生が説明し「わかった?」と尋ねる方法。
これでは
・本当にわかってるかどうか?が分からない
・生徒さんは分かったつもりになることが多い
・「なんだか分かんないけど『わかった』と言っておこう」のケースも
これでは
何度説明しても、理解が深まらないのです。
でも、

どういうこと?
と説明することを促された
生徒さんの脳内は

どういうことなんだろ?
と考えはじめます。
すると

左手は伸ばしてて…
右手は…
など頭の中で
色々なことを描き、
それを整理しようとします。
これにより、
理解が深まります。
今回の場合は
弾いてるところを想像することにもなるので
テクニック練習にもなりますね。
もちろん答えられなくてもOK!
答えられないということは
・理解しきれてない
・理解してるけど言葉にできない
のいずれか。
いずれにせよ、
理解が不足しているので
そこは教えて指導します。
2:「どんな感じの音(音楽)になりそう?」
これは、そのテクニックを使って弾く前にした質問です。
実際に音を出す前に、音を想像することを促す
もちろん弾けば音はわかるのですが、
鳴らしてるのに聴いてないことが多いです。
そういう視点で
聴いてないからですね。
でも

どんな感じの音楽になるの?
と質問された生徒さんの脳内は

え〜、どんな感じだろ?
とさまざまな場面を
描こうとします。
もちろん描けないことも多いですね。
答えられない原因は、
ソルフェージュ力が不足してるからです。
そんな時は
「じゃあ、どんな音楽なのか?
鳴らして聴いてみよう」
と実際に鳴らします。
すると生徒さんは
「分からなさ」を解消するために
「音」をかなり意識して聴きます。
こうして音を鳴らす前に
「どんな音楽なんだろ?」の視点で
音を聴く習慣をつけると
聴く力も養われるし、
知らない曲でも「どんな曲なんだろ?」
と興味を持ちやすくなります。
3:「(実際)どんな感じに聴こえた?」
実際に弾いた後 にした質問です。
演奏された音を聴いて、その印象を言葉にしてもらうための質問です
これは感覚なので
全部言葉にする必要もないと思います。
でも何かしら印象には残したいもの。
よくあるのは
「スタッカートで弾いて!」の指示。
スタッカートで弾いたもの
・それが何?
・何の意味があるの?
と思うと、
重要性はわかってもやる気は下がります。
でも先ほど同様に、

どんな感じの音楽だった?
と質問された生徒さんの脳内は

え〜、どんな感じだろ?
とさまざまな場面を
描こうとします。
これももちろん描けなくてもOK!
答えられない原因は、
アイディアが不足してるからです。
描けない場合は
「こんな場面かもよ?」
「他の生徒ちゃんはこう言ってたよ?」
といくつかの事例を伝えると
そこからヒントを得て
自分なりに考えるようになってきます。
よく「感性は教えるべきではない」と言いますが
・どう描けばいいか分からない
・何から感じ取ればいいか分からない
・どう伝えたらいいのか?が分からない
などのつまづきによって、感性の芽はあっても育まれないことがあります。
きっかけを作るのは必要だと思います。
4:その他

もしこれスタッカートじゃなかったら
どうなるんだろうね?
と、そのテクニックを使うときと
そうでない時を聴き比べて、
弾き方が変わると音楽が変わることの面白さを伝えたり、
上手く弾けたら

どんな弾き方したらできたの?
と自分の身体の使い方を客観視させることで
テクニックの安定を図ったりします。
こうして「質問」を使うと、
・発見する
・理解が深まる
・モチベーションが高まる
・自分なりに考えるようになる
こんな効果があります。
ぜひおためしください。
実際の様子はこちら。