初見指導ってどうするの?(ピアノアドヴェンチャーレベル1「クラシックダンス」)

ピアノ指導の仕事は、
・音楽の楽しさを伝える
・自分らしい表現のサポート

だと思っています。



でも「憧れの曲が弾きたい!」の希望を叶えるには
読譜力が必要ですね。

「正しく弾く」だけが正義ではないけど、

生徒
生徒

これを綺麗に弾いたら
どんな音楽になるんだろ?

生徒
生徒

ミスの不安なくスラスラ弾いたら
どんな気分を味わえるのかな?

と思う気持ちはよくわかるので
読譜力も養って差し上げたいです。


そのためには
「初見力」を養うのが必要になります。

初見とは?「譜読み」と「音読み」との違い

よく

生徒さん
生徒さん

譜読みします!

と言いながら、

私

え?!それ『音読み』では?



生徒さん
生徒さん

初見します!

と言いながら、

私

それは『譜読み』じゃないの?

と思うことがあります。




指導者の中でも
考え方が違うということですね。

そこで誤解をしないためにも、
私が思う「初見」「譜読み」「音読み」
についてお話ししておきます。

音読み

音符を読むは、
「音符を1つ1つを読む」こと。

ド・レ・ミなどの音名を読むことですね。

ブルグミュラー25の練習曲より「素直な心」


譜読み

譜読みは、
楽譜全体を読むこと。

楽譜に書かれていること全部を読みます。


例えば
・拍子記号
・リズム
・強弱記号
・スタッカートなど


もちろん先ほどの音名もです。



またいくつかの音符をグループにすることで、
・音程
・和音の性格(特徴・役割)

を読んだりします。

特に和音の(特徴・役割)がわかってないと
譜読みはかなり厳しいです。

初見

初見は、
初めて見る楽譜を、
「練習なしで、止まらず、ミスなく弾くこと」
を言います。

譜読みも
「ミスなく弾く」を目指しますが、
1回で完璧に弾くのを目指すわけではありません。

なので
少し初見の方が条件が厳しいことになります。



とはいえ
何も準備せず行うのではなく、

予見(よけん)といって、
事前にいろいろ調べて
「どんな曲なのか?」
を確認する作業を行います。

ちなみに、
よくグレード試験や音大の入試で
初見課題がありますが、
だいたい1分〜数分の予見時間があります。



もちろん普段弾いている曲は、
初見でなく譜読みで良いと思います。

でもその譜読みも、
1回目の時点で
8割は弾けてないと厳しいかと。

なので譜読みを8割弾けるようにするために、
レッスンで練習なしで弾ける実力
つまり「初見力」を養います。


初見手順

では初見手順はどうしてるのか?
の主な流れは、

分析→弾く真似(エアピアノ)→弾く の順です。

分析(構造を把握する)

まずは構造を把握しますが、
構造(どういう分け方をするか?)も色々あります。
これが譜読みのややこしさですね…

でも
曲全体の大きい部分→小さい部分
を意識すると、少しは行いやすいと思います。



例えばこれは
ピアノアドヴェンチャーレベル1の
「クラシックダンス」です。

全音楽譜出版社HPより引用

今回はこれを例に分析します。



拍子

まず、曲全体に関わるところからの分析。
今回は3/4拍子です。

これはもちろん
数字を見れば簡単なのですが、

3拍子の感覚を持続させながら弾くのは
難しいものです。



なので、
分析段階は理論だけでよいのですが、

弾く時は
3拍子の拍子感を身体で感じさせてから
弾き始めます。



音楽形式

「音楽形式」とは、
曲全体を大まかに分けたものです。
(はじめてのピアノアドヴェンチャーCで学びます)



レベル1のこの段階では

最初はAメロディー。

次に続くメロディーが、
● 冒頭と同じ → A
● 違う → B
● Aと似てる →  A1(またはA’ダッシュ)

にそれぞれ分類します。

となると今回の曲は
「A – B – A 」。


曲全体を大まかに分けることで、

生徒
生徒

また同じAが出てくる

がわかると、
音読みの省略ができるので楽です。



リズムパターン

リズムパターンとは、
複数の音をグループにしたもので、

レベル1のこの段階では

です。

今回の3拍子のリズムパターンは
はじめてのピアノアドヴェンチャーB
で学びます。

このリズムパターンが
どう配置されているか?
などを確認しておきます。



となるとこんな感じです。


1小節単位のリズムパターンが
4小節の大きなパターンになり、
それが3回くり返される。

ということがわかります。



メロディーパターン

このあたりからセクションごとに
細かく読みます。

メロディーパターンです。



ここで言うメロディーパターンとは、
1〜2小節の元となる短いメロディー。
モチーフのことです。
(メロディーパターンについては
はじめてのピアノアドヴェンチャーB・導入書で学びます)




そのパターンがどう変化しているか?
を調べます。

曲はこの短いメロディーを
発展させながら進んで行くので、

どのように発展(変化)をしているのか?
を読みます。



変化方法については
この段階であれば

〈くりかえし〉
パターンをそっくりそのままくり返す手法。
実質「変化」はありません。

〈シークエンス(ゼクエンツ)
パターンをずらす手法。
ゼクエンツのことです。

〈リズム変奏〉
使ってる音は同じで、リズムを変える手法。

〈追っかけ(模倣)
ピアノアドヴェンチャーでは「まねっこ」と呼んでます。

といった具合に
短いメロディーがどのように変化しているか?
を読みます。
(パターン変化については
はじめてのピアノアドヴェンチャーB・C・導入書で学びます。)



となるとこんな感じです。

これができると、
音読みがかなり減るので楽です。

でもこのメロディーパターン分析。

生徒さんによって
スキル差が大きいように思います。

意外に難しいのが
そもそも「元になるパターン」を探すこと。

これも曲の難易度や解釈によって、
どの長さを元のパターンと考えるのか?
は変わりますが、

今の初歩の段階だったら
1〜2小節の長さを
メロディーパターンとします。



そして次につまづくのが
そのパターンがどのように変化しているか?
を読むこと。

これは、
くり返し・シークエンスなどの
変化手法を把握してないからです。

なので一覧にしておくと便利です。




その他

他にも音程や、
(はじめてのピアノアドヴェンチャーB・C・導入書で学ぶ)

左右の関係性
(はじめてのピアノアドヴェンチャーC、導入書で学ぶ)

も読んでおくといいですね。



分析結果から音楽を想像する

これでだいたい分析が終わりました。

でも、大事なのが
「理論」で終わらせないことです。

譜読みの目標は
「音楽を読む」です。

なので調べた分析結果から
音楽を想像しておきます。



そのために
各概念の理論を教えるだけではなく、

・音が想像できる
・指の動きも連携できる


というレベルまで
指導しておきます。



すると、
下の楽譜のように音符を隠しても
弾けるんですよね。

弾くまね(指と音の統合)

ここでいきなり弾かず、
ピアノの蓋の上などで弾く真似をします。
(この方法ははじめてのピアノアドヴェンチャーBの
「よろこびのうた」で学ぶ。)


目的は
〈分析結果から想像した音楽〉と、
〈指の動き〉との統合
です。



よくあるのが
音の想像よりも指が先行してるケース。

弾いたあとで

生徒
生徒

あ、間違えた…

となるケースです。

これは
・脳内で音が鳴ってない
・脳内で準備ができてない

それらが原因で起こるのです。

見切り発車なんですよね。



なので指導のときは
生徒さんの身体の様子をよく観察し、

・脳内に音楽が流れているか?
(正しい音が鳴ってるか?まではわかりませんが、
少なくとも流れを感じているか?はわかります)


・その流れと指の動きが一致しているか?

を観察します。

これで弾けそうであれば
実際に弾きます。

弾く

弾くと実音が聴こえるので
想像してた音との
答え合わせができます。

もちろん
想像通りの音であれば
問題ありません。



もし想像の音と違ってても、

生徒
生徒

あ、こんな音だったんだ?!

と聴きながら弾いてたら
2回目に弾く時は上手く行きます。



なので、
1回目に上手くいかなかったけど
2回目に上手くいったら

「1回目の時に、
弾きながら音を聴いていた」

がわかります。



実はこの
「弾きながら音を聴く」
譜読みにおいては重要なスキル。

これがあると
初見は弾けなくても
譜読みは行いやすいです。

移調する

この移調目的も
レベルや曲によって違いますが、

今回の場合だったら
・弾きながら聴けてるか?
・また音名に頼らず、音程(音と音の間)を読んでいるか?

を確認するためです。



というのも
今回の曲は音数が少ないので

・音符を読むのが得意
・理論を読むが得意
という方だったら

音が想像できてなくても、
音程が読めてなくても、
弾けてしまうことがあります。

それを防ぐためにも
移調します。



もし移調の時につまづいたら
何かの概念が未熟
なのです。

そこに改善ポイントがあるので、

先生
先生

何の概念でつまづいているか?

を確認してレッスンで改善します。




あとは
調性感を味わうのが大きな目的です。

ぜひ、調による雰囲気の違いを
味わって欲しいと思います。

読譜力を上げる=できる概念を積み重ねる

というわけで
ピアノアドヴェンチャーレベル1の段階での
初見方法をご紹介しました。


もちろんこの後は、
他の音程やポジション、和音などの
概念が混ざっても弾けるように
コツコツと積み重ねて行きます。


こうして
様々なことを同時処理できるように
指導をします。

すると大体の方が
初見で弾けるんですよね。



そのため指導者は
・その曲を弾くための概念
・生徒さんが身につけている概念

を把握します。

そして今回のように
初見で活用できてるか?
を確認します。



すると
確実に譜読みの力が付くし、

音楽を想像する譜読みは
楽しい
のです。

音楽が想像できないから
譜読みが苦痛になるんですよね。


ぜひ
ピアノ練習が楽しい時間になるのを
願ってます。

関連記事

こちらは初見指導をしている実際のレッスンです。

教材はピアノアドヴェンチャーの初見本なので
本コラムの曲とは異なります。


=======

コメントを残す