はじめてのピアノアドヴェンチャー
レッスンブックA「ぶたのドナルドおじさん」。
ノリが良く、とても人気の曲です。
ここでは前ページで学んだ全音符を使って弾けるか?を試します。
なので私のレッスンでは、
次のことを復習しながらレッスンしてます。
- 目標1:全音符を探せて、4拍伸ばせる
- 目標2:4分音符・2分音符がほぼ初見で鳴らせる
- 目標3:左右の手がほぼ初見で正しく弾けるか
- 目標4:「鍵盤図を見て指を置く」のルールが分かり、置ける
すると、レッスン内でほぼ初見で弾くことになり、
楽しい曲が弾けたら、おうちでも弾きたくなります。
ちなみに、指番号については、この時点で
全生徒さん「手元を見ないで指定指で弾く」
はできるので、わざわざ確認はしません。
そして今日の4歳ちゃん。
まずはいつも通り
①音階を歌い
②リトミック活動の後、
③概念の確認です。
概念は、
この曲を弾くための必要概念が身についてるか?の確認で、
今回は
・電車作り(音価やリズムの確認のため)
・音源に合わせて歌を歌う
・音符を弾く指で差す(音符追跡のため)
などなど。
だいたい良さそうなので、
「んじゃ、弾いてみようか?」と言った途端、
「え〜っと…」と自分で鍵盤に手を置いてました。
え〜、どうしてそこに置くって分かったの???
え?だってここ(鍵盤図)に書いてるもん!
鍵盤図とは、
下の写真のように手を置く場所を示したもの。
この「言われてから置く」ではなく、
「自力で置けるか?」が大事ですよね。
そのためには、
・どこに置き方が書かれているか
・この鍵盤図を見て意味がわかるか?
が分かってないと置けません。
そして、自力でできたことに価値を感じて欲しいので
よく分かったね〜。
『先生が教えてあげよう!』と思ったけど、
教えなくても分かったんだね。すご〜い!!
などと褒めます。
やはり「1人でできた」は嬉しいですよね。
そんなこんなでゆっくりですが、
初見で弾いてました。
しかも生徒ちゃん、
ちゃんとここに「p」と書かれているのも読み取り、
小さな音で弾いてます。
とはいえ、おそらく
「pって書いてるからpで弾かなきゃ!」
と思って弾いているだけ。
(たいていそうですが…)
こうした小さな気づきから音楽表現につなげたいので
すかさず
生徒ちゃん!
ここ(p)、なんかヒヨコさんが歌ってるみたいだったよ!
こうして何気なく鳴らした p をきっかけに
生徒ちゃん得意な想像の世界につなげます。
昔の私だったら
「きちんとpで弾けたね。」で終わってたと思うのですが、
これって正しい譜読みはできても、
音楽表現ではないですよね。
「p は、どんな p なのか?なぜ p なのか?」
を想像して弾くことが表現です。
すると「 p って書いてるから p 」ではなく、
「ヒヨコが歌うから p 」と、イメージが先行するのです。
いや、もう「 p 」という存在すらなく
「ヒヨコが歌ってる音」なのです。
そしてそこから生徒ちゃんのお話が炸裂!!
んじゃ、ここは誰が歌ってるのかな?
f だもんね…
お、早速 f にも意識が行ってますね。
そして f で音を鳴らし、
その音に似合うものを想像しています。
牛さんかも!『モーモー』にしよっと!
なんと!歌詞まで変えてます。
そして「モ〜、モ〜」と牛の真似をしながら教室内を動き、
お一人リトミック笑
そして鍵盤に戻り、
どこで弾こうかな…?
今度は牛に似合う音域を探し、
弾く音域まで変えました。
ここは犬がいいな…、ワンワンだね
最初はウサギにする!
ピョンピョン!って跳ねる感じだね
もうアーティキュレーションも変えてる笑
こうして思いつくたびに
動物の真似をして教室一周
→音や音域確認
→替え歌で歌いながら弾く
→何ならアーティキュレーションも変える…
の繰り返し。
もう忙しい笑
その間私は
面白いね!
生徒ちゃんにはそんな風に聴こえるんだ?!
だけ笑
あの「ヒヨコみたい!」と言ったあとは、
指導らしい指導はしてないです。
ただ遊びに付き合っただけ。
でも生徒ちゃんの中には
・イメージ
・音
・テクニック
の連携がどんどん出来上がっています。
実はこの4歳ちゃん。
「出来なさそう…」と思ったら
レッスンも拒否するほどの負けず嫌い。
しかも面白くないことはやらない。
(当たり前よね…)
でも、
・「できない」を発見するのはすごいこと
・「できない」にチャレンジするのはすごいこと
など新しい価値観を上書きしていくと
こんなにも意欲的になれるのか…を
教えてくれた生徒ちゃんです。