ドミナントを感じたら弾けた!

小3生徒くん
ピアノアドヴェンチャー レベル1の
「ラクダに乗って」を弾いてもらいました。

この生徒くん。

活発な男の子なこともあり
あまり丁寧には練習しないです。


なので普段は、

レッスン:初見し、ゆっくりだったら弾ける状態で帰る
  ↓
お家:レッスン前に数回弾く
  ↓
レッスン:弾く

のサイクル。


そして今回の「ラクダに乗って」も、
前に初見で弾いた曲です。

でもレッスンでは
相変わらずガチャガチャの速弾き・・・


前回初見で弾いたので
ほとんどは弾けるけど、

なぜかここの[左手ソ]が
[ド]になってしまう・・・



生徒くんも

生徒くん
生徒くん

あ…!

と弾き直しながら弾く感じです。

これではココを弾くたびに

生徒くん
生徒くん

間違えないようにしないと…

の意識が強くなり
音楽を感じた演奏にならない。

せっかくの面白い曲なのに
もったいないですね。

そこでよくある指導は

先生
先生

ソよ!気をつけて!

でしょうか…
昔の私もそうしてました。

きっとこの生徒くんも
4〜5回弾けば間違えずに弾けると思います。

たけど、それでは根本的な解決にならない。

たかだか1音なんですが、
こういうちょっとしたつまづきが多くなると、

気をつける音が増える
 ↓
スラスラ弾けない

 ↓
練習が大変

 ↓

練習が嫌になる…

の悪循環になります。

そこでレッスンでは

●何が原因で弾けないのか?を探る
●改善する
●気をつけなくても弾ける


これを目指します。

弾けない原因を探る

ここで考えられる原因は

  • 原因1:音が読めてない
  • 原因2:理論が分かってない
    (今回はなぜそこが[ソ]なのか?)
  • 原因3:音が聴けてない
  • 原因4:それらを活用できてない

あたりでしょうか…

まず、原因1.音原因2.理論の確認。

先生
先生

この音なんだっけ?

生徒くん
生徒くん

ソ!

音名は読めてるようです。

先生
先生

ということは、
トニックだっけ?
ドミナントだっけ?

生徒くん
生徒くん

ドミナント!


この曲の課題、「トニックとドミナント」
の理解もできてるようです。

トニック:その音階の1番目の音、ドミナント:音階の5番目の音
音には役割や性格があります。それを理解していると譜読みは早いのです。

今のところ
原因1.音も読めてる…
原因2.理解はしてる…


でも[ド]になってしまいます。


じゃあ
原因3.音が聴けてないのか…?

音には役割や性格があります。

その役割や性格を聴きながら
弾けてないのかもしれません。


トニック(1番目の音 ド):
落ち着いた雰囲気

ドミナント(5番目の音 ソ):
不安定・緊張の雰囲気

になります。

(全音楽譜出版社HPより引用)

ピアノアドヴェンチャーの場合、
こうした理論が出る前に

生徒
生徒

なんだかわからないけど、
終わった感じがする(実はトニック)

生徒くん
生徒くん

何だかわからないけど、
まだ続く感じがする(実はドミナント)

を感じさせるように
カリキュラムが組まれてます。


この生徒くんも
この聞き分けはできてました。

となると原因4.の活用できてない
でしょうか…

音も理論も分かってる…
トニックとドミナントの聞き分けができる…

でも曲になるとその聴き方や理論が活かせない…
というのはよくあることです。

この生徒くんの場合、
速くばかりで弾くので
聴く余裕がないんですよね。

こんな思い当たる傾向もあるし
原因4.の活用できてない
が怪しそうです。

どうやって改善するの?

そこで私が小節ごとに
和音を弾いて聴かせます。

トニック:ドミソ  ドミナント:シファソです。


するとトニック(落ち着き)、
ドミナント(緊張)などが
感じやすくなります。

その後、楽譜通りにも弾きました。

早速生徒くんに雰囲気の違いを確認。

先生
先生

このソってどんな感じがする?

生徒くん
生徒くん

なんか上がった感じがする…

おお!いいですね!!

教科書的な答えじゃなくても

前の小節と違う雰囲気
を感じるのは

音のイメージを聴いてる証拠。
大事な感覚です。


そして今度は生徒くんが弾く番。

その「上がった感じの音」を想像しながら弾くと
スムーズに弾けました。

・もう一度弾いても大丈夫!
・速く弾いても大丈夫!
・前の段から弾いても大丈夫!
・最初から弾いても大丈夫!



もう間違いを気にすることなく
スラスラ弾けるので
生徒くんもノリノリ!

だって、頭の中で歌ったように
弾けるんだもん!

そりゃ、楽しい!

生徒くん
生徒くん

もっと速く弾く!!

と、何度も弾きます。

それに飽きたらいつものように
自分なりにアレンジをして
遊び始めました。

もうあとは
生徒くんの自由です。

ちなみにこの
「音が想像できると弾ける」の仕組みを
科学的に証明はできないのですが、

「あ、あそこ行きたい!」と思う
→無意識に歩く

「あ、高い場所にある物を取ろう!」と思う
→無意識に背伸びをする

そんな感覚に似てます。

「右足上げて…、左足は…」
なんてしないですよね。

ピアノも同じ。
「あの音鳴らす」と音を想像すると、
自然に指がついてくる感覚です。

でもその自然に指がついてくるような練習はします。

音楽を味わうためにも、ミスの心配を減らす

そんなわけで今回の弾けない原因は、
ドミナント(緊張感)を
感じながら弾いてないことでした。

ドミナントの上がった感じ
で聴きたいところを、

トニックの落ち着いたまま
聴いてたんですね。

もちろん「ミスのない演奏が素晴らしい」
ではありません。

ミスがあっても
他の部分で音楽を感じられれば
よいと思います。

でも今回のソの原因、
ドミナントを感じながら弾けてない
の問題は大きな問題です。

というのも今後、
ドミナントが出ない曲はありません。

これができないということは、
ドミナントが出るたびに

生徒くん
生徒くん

ソにしなきゃ!

生徒くん
生徒くん

気をつけなきゃ!

と気をつけないと弾けない。 

それって、
「自然にスラスラ弾ける感覚」
を持ってる人からすると、

すごくストレスを感じます。


だって、「あ、あそこ行きたい!」
と無意識に歩いてる人が、

毎回「右足上げて、今度は左足…」
って考えながら歩く感じ。

もう歩くのが億劫になる…

ピアノも同じです。


「間違えないように…」
なんて考えなくても弾けると
音楽を表現することに集中できます。

また今回のように
・落ち着いた感じの音
・緊張した感じの音
など

音楽を想像しなが譜読み(音楽を読む譜読み)ができると
自分の演奏にプチ感動できるので
練習が楽しいと思います。

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